熊本都市計画区域北東部地域における土地利用計画について
【質問】
熊本都市計画区域は昭和46年5月に設定され、熊本市を中核に合志市、菊陽町、嘉島町及び益城町の2市3町で構成されており、県内で唯一、市街化区域と市街化調整区域に区分されている、いわゆる「線引き」都市計画区域となっています。
熊本都市計画区域の人口は、昭和46年の約46万人から、現在は1.9倍の約87万人となっていますが、市街化区域の面積は、当初の111k㎡から順次拡大されたものの、現在126k㎡であり、約45年間で13%しか拡大されていないことになります。
その中でも、合志市における市街化区域は熊本市に隣接する南部に設定され、行政区域面接の僅か約1割である5.5k㎡となっており、この区域に人口の約6割が居住しており、残りの約4割は市街化調整区域に居住している状況です。
一方、国立社会保障人口問題研究所の推計によれば熊本都市計画区域の将来人口は、熊本市の減少に伴い全体的には減少するものの、合志市と菊陽町は令和22年まで増加傾向が継続していくと推計されています。
特に合志市においては熊本地震以降人口増加が一層加速化しており年間約1千人、世帯数で約400世帯が増加している状況です。その主たる要因は、熊本市北部地区をはじめとする隣接市町からの30から40代の子育て世代の転入によるものとなっています。
また、合志市が昨年独自に行った将来人口推計では、10年後の令和12年で7万人を越え、20年後の令和22年では8万人を超えるものと推計されています。
人口増加の背景にある宅地開発については、市街化調整区域での地区計画や集落内開発によるもので、年間約10haもの住宅が開発されていますが、集落内開発について、計画的な市街地の形成を誘導していくのは容易ではないのが現状です。
ところで、人口が減少していく自治体の課題は各方面で指摘され、その対策についても様々な施策が講じられていますが、人口が増加する自治体が抱える課題についてはあまり認識されていないものと思います。
例えば、子供二人を持つ子育て世代の標準的な世帯が戸建住宅を購入し転入された場合、市民税や固定資産税等の収入が増えるものの、保育料や子供医療費の無償化等に伴う支出が増えることで財政負担が大きくなり、児童福祉費等の扶助費は歳出予算の3割を超える状況になっているとのことです。
人口が増えれば財政が潤っていた昭和の時代とは異なり、少子化対策等の施策を拡充せざるをえない現在とでは、人口の増加による自治体財政への影響が異なるというのが現状です。
そのため、財政の健全化を図るためには、自主財源である税収の増加が必要であることから住宅以外の事業所や商業施設の誘致が不可欠であるものの、先ほど述べましたように行政区域の約9割を市街化調整区域が占めているため様々な規制で容易に立地できないのが現状です。
また、既存の市街化区域内における開発可能地だけでは、将来増加が予想されている人口を収容するのは困難であるとともに、事業所や商業施設の立地による税収増を図るためにも市街化区域の適切な拡大を行うことが不可欠であると考えます。
今後とも人口増加が予想される熊本都市計画区域北東部地域の土地利用計画に対する県としての考えについて土木部長にお尋ねします。
【答弁】
2市3町で構成される熊本都市計画区域では、「豊かな自然と歴史を活かし、活力あるエコ・コンパクトな都市づくり」を基本理念とし、計画的な都市づくりを進めている。そのうえで、いわゆる「線引き」を定め、2市3町へのヒアリングや将来の人口予測を踏まえ、定期的に見直しを行っている。
合志市では、合志市役所南側地区や熊本電鉄御代志駅周辺地区を編入するなど、計画的に商業機能の誘導が図られている。熊本都市計画区域は、社会、経済的に強い繋がりのある広域な区域であることから、行政区域にとらわれず、一体の都市として、将来の市街地規模などを適正に定めていく必要があると考えている。
引き続き、2市3町と連携を図りながら、持続可能な都市づくりを目指し、計画的で秩序ある土地利用の誘導にしっかりと取り組んで参ります